Eラーニング・プログラム 第2回

2回 「音を学ぶ」ってどういうこと?

おはようございます。(皆さんの目指す業界では、何時でもこの挨拶です。)
改めまして、音響芸術専門学校の見上陽一郎です。

さて、それでは早速本題です。

「音」は、空気中を波のように伝わって、我々の耳に届きます。
「音」は眼に見えないので、一般の人たちは、
「音」を感覚的には捉えられても、客観的な数値としては捉えていません。

まあ、一般の人が日常生活を送るには、それでも何の問題もありませんよね。

しかし、皆さんのように、「音」を扱うことによって作品を生み出すプロを目指すのであれば、一般の人が感覚的にしか捉えていない「音」を、客観的な数値として捉える必要があります。

例えば、「音の大きさ」「音の高さ」「音色」(以上を「音の三要素」と呼びます)にしても、単純に「大きな音」「低い音」「華やかな音色」などと感覚的に表現するのではなく、「音圧レベルが75dB(SPL)の音」「80Hzの音」「15kHz以上の高調波(倍音)成分が豊富な音」というように、より客観的に、数値的に捉える必要があるのです。
(ちなみに、今は上記の表現が分からなくても大丈夫。今後少しずつ、分かりやすく説明していきますからね。)

それはなぜでしょうか?

それは、皆さんが扱う音響機器が、「音」を数値で扱うようにできているからです。

「音」をどう加工したいか、どう変化させたいか、といった「感覚的」な欲求を、
頭の中で実際の数値に変換しながら、機材を使って「求める音」にしていくのが、これからの皆さんの仕事です。
つまり、「音を学ぶ」というのは、
「主観的」な感覚を「客観的な数値に置き換えて捉える」ための知識や技術を学ぶこと、にほかなりません。

だから、基礎からしっかり、理論的な勉強もしなければならないのです。

なんだか、面倒くさい感じがしますか?

私の場合、中学生の頃から趣味としてバンド活動や録音をしていたとはいえ、大学の専攻は教育学で、音響についてはほぼ独学で学んだので、大変苦労しました。
周囲のベテランの方々に聞いたり、本で調べたり、講師の先生方の現場に出向いて見学やお手伝いをさせていただいたり、1990年代後半からはAES(Audio Engineerin Society)の会員になって様々なセミナーに参加したりして、右往左往しながら知識や技能を積み重ねざるをえませんでした。

でも、みなさんの場合、整理されたカリキュラムで、一歩一歩、
着実に基礎から学んでいけるのですから、面倒なことはないはずです。

きちんと授業に出席し、習ったことをきちんと整理・理解し、必要なことは覚える。もちろん、そういう努力は必要です。
でも、それさえしっかりやれば、毎日、少しずつ、霧が晴れていくような快感すら感じられるはずです。

音響に限らず、エンタテインメントの制作や制作技術スタッフに必要な知識を焦らず基礎から、一緒に楽しみながら、身につけていきましょう。

それでは次回から、より具体的な、「授業の予習」を少しずつ進めていきますね。楽しみにしていてください。